琥珀(こはく)をこすると軽い物体を引きつけるようになるが、この現象はすでに古代ギリシャ時代に発見されており、摩擦により琥珀が電気を帯びるからであるとしていた(電気のelectricityという言葉はギリシャ語の「琥珀」に由来している)。琥珀に限らずいろいろな物体が摩擦などにより帯電(electrification)するが、帯電した物体がもつ電気量を電荷(electric charge)とよぶ。電荷の最小単位は電子1個がもつ電荷の絶対値(約1.6×10-19クーロン)であり電気素量とよぶ(陽子がもつ電荷は電子の電荷と大きさが同じで符号が反対)。つまり、すべての電気量あるいは電荷は電気素量の整数倍となっている。
電荷が存在すると、同符号の電荷間には反発力が、異符号の電荷間には吸引力が働く。力の大きさは電荷間の距離の二乗に反比例する(クーロンの法則)。このように一つの電荷は他の電荷に力を及ぼすので、電荷により電気的な影響を及ぼす場が空間中に作られ、これを電気の場、つまり、電場あるいは電界(electric field)とよんでいる。また、単に電界といった場合には電界の強さを表すことが多い。
電荷が運動するとそこに電流(electric current)が流れたといい、1秒間に1クーロンの電荷の流れがあるとき1A(アンペア)の電流と決めている。また、電流が流れると、そのまわりに磁気的な作用が発生し、この磁気的な影響を及ぼす場を磁場あるいは磁界(magnetic field)とよんでいる。この場合も、単に磁界というと磁界の強さを表すことが多い。なお、これとは逆に磁場の中に導体を置いた場合には、磁場が時間的に変化しているか、あるいは、一定の強さの磁場でも導体を運動させると、導体中に電流が流れる。これらの現象は電磁誘導(electromagnetic induction)とよばれ、導体中の電荷の流れ(つまり電流)と磁場は不可分の関係にある。モーターや発電機は電磁誘導現象を利用して、電力を動力に変えたり、その逆の変換を行っている。また、多くのスピーカー、電磁調理器なども電磁誘導現象を利用している。
電場や磁場の振る舞いはマクスウェルの電磁方程式により説明できる。これによると、電場と磁場は波動として空間中を伝搬可能である。この波動は電磁波(electromagnetic wave)とよばれる。電磁波は、空間中の電場と磁場による広い意味での電磁誘導現象を介して伝わっていくと考えることができる。電磁波は極めて広い波長範囲に及び、その波長により、いわゆる電波から始まって、光、X線、γ(ガンマ)線などさまざまな名称がつけられている。