ホール効果を利用して磁界を検知する半導体素子。ホール効果とは磁界と直角に電流を流したとき、磁界と電流の両方の直角方向にキャリアが力を受け(ローレンツ力)、その方向に電流と磁界の両方の大きさに比例した電圧(ホール電圧)を発生する現象をいい、発見者のE.H.ホールにちなんでこの名がついている。ホール電圧は物質中の電気伝導に寄与するキャリアの密度に逆比例するので、キャリア密度の低い半導体では大きいが、金属では小さく、観測するのがむずかしい。ホール素子には大きい電圧を発生させることのできるゲルマニウム、インジウム・アンチモン、インジウム・ヒ素、ガリウム・ヒ素などの半導体がよく使われる。ホール素子は、磁界の測定用のほか、モーターの回転数制御のために磁石を埋め込んだ回転部分の磁界をホール素子で検知してフィードバックする用途に多用されている。