光を波長によって分散させる(スペクトルに分解する)装置。入射スリット(隙間)を通った入射光がレンズや反射鏡などの光学系によって回折格子(グレーティング)やプリズムなどの分散素子に導かれ、分光された光が光学系によって出射スリットに集光される仕組みとなっている。分散素子を回転させることにより出射される光の波長成分が選択され、通常は光検知器を組み合わせてその強度を測定する。このように単一波長付近の光を出射するモノクロメーターと呼ばれるタイプの他、出射側にアレイ型の光検知器(多数の検知器が並んだ素子)を配置して同時に複数の波長成分を測定するポリクロメーターがある。
また、上記の分散型の分光器とは原理が全く異なるものとしてフーリエ変換型分光器がある。この分光器の原理は、2枚の鏡(固定鏡と可動鏡)の間における光の干渉を干渉波形(インターフェログラム)として検出し、コンピューターによって干渉波形をフーリエ変換(いろいろな波長の正弦波に分解する演算処理)することによってスペクトルを得るというものである。フーリエ変換型分光器は光の全波長を利用できるため、分散型分光器に比べSN比(信号・雑音強度比)が高いなどの特徴があり、物質の赤外領域の吸収を測定するフーリエ変換赤外分光光度計(Fourier transform infrared spectrometer; FTIR)などに用いられている。