天然ガスをガスパイプラインやLNGで輸送する代わりに、DME(CH3OCH3)、GTL、メタノールなど液体燃料に転換し、タンカー船により消費国に輸送するシステムが検討されている。DMEは原料として石炭も利用でき、プロパンガス(LPG)に類似した物性を持っている。その特性は、約6気圧で液化し輸送や貯蔵が容易であるほか、環境面でも硫黄などを含まないクリーンな燃料で、メタノールのような腐食性や毒性がない。LNG施設よりもコンパクトに建設できるため、LNG開発に適さない中小ガス田の天然ガス等の有効利用が図れる。GTLは、天然ガスから製造される灯油や軽油等の液体燃料をいう。GTL技術は、大きく2段階のプロセスに分けることができる。すなわち、原料である天然ガスから合成ガスと呼ばれる一酸化炭素と水素の混合ガスを製造する前段プロセス(改質)と、合成ガスから液体燃料を製造する後段プロセスである。製造された灯油や軽油には、硫黄分や芳香族等の公害物質が含まれておらず、ディーゼル自動車の排気ガスによる公害問題も大きく緩和される。