地中の水圧やガス圧が低くなった油田では、可採埋蔵量を増やすために人工的に外部から水やガス、それに熱など他の種類のエネルギーを使って油の回収を促進する増進回収法が採用される。油井の自噴圧力やポンプなどによる人工採油は一次回収(primary recovery)と呼ばれており、水やガスを圧入井から注入し油層の圧力減退を補う回収を二次回収(secondary recovery)という。二次回収のなかで最も広く利用されているのが水攻法である。水攻法(water floods)は、注入井戸と採油井戸を適当に配列し、注入井戸から水を圧入して採油井戸から取り出す方法である。さらに増進能力を高める方法に三次回収(tertiary recovery)がある。三次回収の一つである火攻法(fire floods)は、空気または酸素を送って地下で石油の一部を燃焼させ、その発生熱で原油をガス化し、このガスの圧力で油を噴出させる。この方法は粘性の高い油田に対して効果的である。この他に、二酸化炭素や高圧天然ガスを圧入するミシブル攻法(miscible floods)、界面活性剤など薬品を圧入するケミカル攻法(chemical floods)があるが、いずれの方法も石油の粘性と界面張力を低下させて流動性を高めることを目的としている。増進回収法による回収率は、二次回収で原始資源量の約40%、三次回収によって60%程度にまで向上するとされている。