火力発電所や製鉄所といった、大量の化石燃料を使用する施設で排出される温室効果ガスである二酸化炭素を分離・回収し、長期にわたって、地下や海底に閉じ込めるという技術。地球温暖化対策の切り札になる革新的技術として期待されている。具体的には、CCSは3段階のプロセスからなっている。まずは、大規模な固定発生源からの「二酸化炭素の回収」と「集めた気体の圧縮」、そして、パイプラインなどを使用する「貯蔵地点への輸送」である。貯蔵方法としては、地下の帯水層や枯渇が進んでいる油田へ注入するなどの地中隔離法、気体状態で海洋中へ溶解させる、あるいは液体状態で海底に貯蔵する海洋隔離法がある。火力発電所から二酸化炭素を回収する技術は、既にアメリカなどの油田において、増進石油回収技術として実用化されている。これは、地下の圧力が弱まった油田の生産量を回復する方法として、水や二酸化炭素を送り込むことで、岩盤に残った石油を搾り出す方法である。