抵抗発熱体に電流を流し、そのジュール熱を利用して被加熱物を加熱する方法。ジュール熱とは導線に定常電流を一定時間流した時に発生する熱量で、その大きさP(W)は電流I(A)の2乗と導線の抵抗R(Ω)に比例する(P=I2R)。よって、t秒間に発生するジュール熱H(J)は、H=Ptとなる。抵抗加熱は、トースター、ヘアドライヤー、電気毛布など身近な電気器具に数多く使われている。
抵抗加熱を大別すると、間接抵抗加熱と直接抵抗加熱の二つの方式がある。間接抵抗加熱とは、抵抗発熱体により発生する熱を放射、対流、伝導によって被加熱物に熱を伝えるもので、被加熱物の形状、加熱炉内部の気体温度や化学的特性、加熱前後の処理工程といった装置の種類や形式を自由に選べるだけでなく、制御も容易であることから多方面に採用されている。それに対して、ジュール熱で被加熱物を直接加熱する直接抵抗加熱は、被加熱物だけを内部から均一に加熱できるために効率が高いという利点がある一方で、被加熱物が均一な抵抗を有していなければならないために用途が限定されるといった課題がある。
発熱体には、古くからニクロム線が使われてきている。しかし、近年、材料技術の進歩が著しく、Fe-Cr-Al系、Ni-Cr系とタングステン、モリブデンのような高融点金属のほか、炭化ケイ素、モリブデンシリサイド、ランタンクロマイドなどの非金属発熱体も開発されている。