放射による熱エネルギーを利用した加熱方法の一つ。赤外線は可視光線とマイクロ波の間に位置し、波長は0.78μm~1mmである。このうち、3μm(マイクロメートル)~1mmの波長帯を遠赤外線と呼んでいる。プラスチック、ゴム、塗料、繊維、食品など高分子物質は、2.5~30μm程度の波長領域に多くの吸収帯をもつため、入射した遠赤外線が吸収されやすい。吸収された遠赤外線は、物質の分子運動を激しくし熱を発生させる。遠赤外線は物質に吸収されると次第に減衰していく。物質表面から距離d(m)だけ内部に進入した赤外線のエネルギーの大きさI(d)は、I(d)=I(0)exp(-a・d)で表される。ここで、a(m-1)は物質の吸収係数と呼ばれる。赤外線のエネルギーが半減する距離を物質の浸透深さといい、その値は実際の物質で10~100μmである。