石炭は、石油や天然ガスに比べて、資源量が豊富で地域的な偏在が小さいといった利点がある一方で、次に述べる環境面の課題がある。(1)燃焼時に、酸性雨の原因となる硫黄酸化物や窒素酸化物、それにばいじんの排出が多い。(2)燃焼時に、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出が多い。(3)固体であるため扱い難い。(4)燃焼後に石炭灰の処分が必要になる。
クリーンコール技術とは、低品位炭利用など資源の安定供給の確保に加えて、石炭特有の環境問題を総合的に解決していく石炭利用技術である。資源の安定供給からみると、水分が多く自然発火しやすく低品位炭等の有効利用を図ることが大切になる。なかでも石炭ガス化技術は、ガス化の生成ガスを発電用でなく原料用にも利用できる技術として期待されている。二酸化炭素の排出量を削減する石炭技術には、高効率燃焼・発電技術やCO2分離回収技術がある。ローカルな環境対策技術として、石炭灰・スラグ有効利用技術と排煙処理技術がある。前者は、セメントやコンクリートへの利用拡大を図っていくものである。排煙処理技術であるSOx・NOx・ばいじん技術は、わが国が最も得意とする技術である。