海水などの塩水と、河川水などの淡水の浸透圧差を利用した発電方式で、浸透膜発電あるいは塩分濃度差発電ともいう。原理は、塩分濃度が異なる海水と淡水との間の拡散現象によって、二種類の液体を混ぜたときに生じる混合エントロピー変化を電力に変換する発電方式である。海水の水分子は淡水側に拡散する基本的な物理的プロセスがある。しかし、両者を半透膜で仕切ると、膜を通過できる水分子が拡散し、淡水が海水側に移動する。この浸透作用(正浸透)の現象を利用すると、海水側は容積が増えるため海水の流れが加速し、その力で発電タービンを回転させ発電することができる。
実際には、塩分濃度差から得られる浸透圧差はそれほど大きなものでないため、実用プラントにするには大規模な装置を建設しなければならず、設備の投資額が大きくなるといった課題がある。また、膜を使って汚れた水からきれいな水を抽出する工程の費用も高額である。
近年、暖流の凍結により塩分濃度が高くなるノルウェー沿岸部で、発電プラントの建設プロジェクトが進行している。プラントの発電能力はわずか2~4キロワットであるが、今後、塩分濃度の高い海洋や死海などの湖で実用化に向けた開発が期待されている。