1901年、たんぱく質の化学合成を目的とした最初の論文が発表されて以来、たんぱく質の人工合成の夢は多くの化学者を引きつけてきたが、80年代に遺伝子組み換え技術が普及したことにより、長く停滞していた。しかし、ペプチドチオエステルを合成ブロックとし、選択的縮合反応によりたんぱく質を合成する方法で、リン酸化たんぱく質や糖たんぱく質を含め小型のたんぱく質を合成することが可能となってきた。また、生細胞中でインテインを用いてペプチドチオエステルを調製する方法も開発され、さらに、発現たんぱく質や天然に存在するたんぱく質を合成ブロックとして利用するたんぱく質合成法が開発されつつある。