遺伝子導入動物ともいう。発生工学的技術、すなわち胚(embryo 受精卵から始まる個体発生初期のもの)に対する人為的操作技術(核移植や卵移植)を駆使し、外来遺伝子を導入したり、内在性の遺伝子の特定の部位に変異を導入し機能破壊を施したりして作製した実験動物をいう。トランスジェニック動物の研究の特徴には、(1)導入遺伝子がすべての体細胞および生殖細胞に組み込まれ、子孫へ伝達されること、(2)導入遺伝子の発現を制御するプロモーターの性質により特定の細胞や組織のみに遺伝子産物が作られるので、その生理的機能の解析に有用であること、(3)ヒトの遺伝子やウイルスの遺伝子を使い、疾患モデル動物の創作が可能であること、などがある。今後も多くの遺伝子導入実験動物が開発され、病気の治療や予防研究に応用されていくと考えられる。