バイオマーカーは、疾病の存在や進行度を知る指標であり、血液中などで測定される物質とその濃度を指す薬理学用語である。最近では、抗がん剤の効果と副作用をあらかじめ予測する手段として、バイオマーカーの利用が進んでいる。たとえば、大腸がんの治療薬セツキシマブなどの上皮成長因子受容体(EGFR)に結合して、その働きを阻害することで効果を狙う分子標的薬(molecular target drug)では、K-ras遺伝子の変異が存在すると薬理効果が期待できないためである。現在では、腫瘍学におけるバイオマーカーの有用性が注目され、新薬開発の初期段階から、バイオマーカーを利用する試みもある。