体細胞に由来する核を、核を除いた未受精卵に移植して作成したクローン(→「クローン胚」)のことで、1997年にクローン羊のドリー(Dolly)を誕生させたことで有名である。最近では、農業生物資源研究所など3社が共同で、免疫不全ブタ(immunodeficiency pigs)の開発に世界で初めて成功している。これには、免疫に関係する遺伝子を不活化したブタの体細胞を作製するという遺伝子組み換え技術と、この体細胞を用いて免疫不全ブタを作るという体細胞クローン技術が使われている。このブタでヒトの抗体や臓器を作ることも可能となる。一方、体細胞クローンは作製の成功率が低いという問題があったが、理化学研究所の山縣一夫研究員らは、胚を生きたまま観察できるイメージング・システムによって、成功率が低い決定的な理由の一つが、初期卵割過程における染色体の分配異常であることを突き止めた。この成果から、初期胚の段階で正常なクローン胚を見分けることで、成功率を高められる可能性が見いだされた。