第四のがん治療である免疫細胞療法(cellular immunotherapy)の一つで、B細胞性急性白血病(B-cell acute lymphocytic leukemia)に対する治療薬でもある。このがん細胞にだけCD19というマーカー(抗原)があり、この抗原に特異的に結合する受容体遺伝子(キメラ抗原受容体〈CAR ; chimeric antigen-receptor〉)を患者のT細胞(thymus-derived cell)に導入して作製されたことから、CAR-Tと呼ばれている。患者から採取した血液からT細胞を分離して遺伝子改変(genetic modification)し、CAR-Tとして体内に戻されると、CD19をもつ白血病細胞だけに結合して殺傷する。この結果、80%以上の患者に効果が認められ、2017年アメリカ食品医薬品局により承認された。CAR-Tは1回の投与で、非常に高い有効性を示すことと、その費用が約5000万円という高額に設定されたことからも話題になった。今後、他家(同種の別個体)のCAR-Tや固形がんに対してのCAR-Tの開発が望まれる。