ジーンドライブは、遺伝子(群)が偏って遺伝する現象であり、メンデルの法則に従わず、ある個体群、または生物種全体を遺伝的に100%改変する有効な手段でもある。新しい技術のゲノム編集で用いる人工酵素クリスパー/キャスナインの登場によって、急に現実味を帯びてきた。これを応用すれば、マラリアを媒介する蚊の生殖能力を失わせることができ、ヒトへの毒性がない「殺虫剤」として有用と考えられる。しかし、ジーンドライブで遺伝子を操作した生物が自然界に放たれた場合、他の生物との交雑の影響などの不明な点が多く、その是非を巡って大きな議論が起きている。