岡山大学の窪木拓男教授らの研究グループは、ビーグル犬から永久歯胚細胞を採取して、細胞操作技術(器官原基法〈organ germ method〉)により再構築したイヌ再生歯胚を顎骨内に移植することで、構造的・機能的に完全な永久歯の再生に成功した。従来、歯の喪失に対しては人工的な機能代替治療が進められてきたが、侵害刺激に対する神経機能など、歯の生理的機能を有していないことが問題とされており、生物学的な歯の再生治療が期待されていた。従来、マウス(げっ歯類)以外の、歯の生え方が人間に近い大型動物では永久歯の再生は実現していなかった。今回の実証は、分泌腺や毛髪などの多臓器にも応用可能で、器官再生医療の発展につながるものと期待されている。