ワクチンは病原体のたんぱく質を抗原として投与することで、体内で病原体に対する免疫を獲得させる医薬品である。一方、DNAワクチンは、病原体の構成たんぱく質の遺伝子であるDNAをワクチンにしたものである。DNAワクチンを投与すると、細胞内でDNAの指示にしたがって病原体のたんぱく質が合成され、さらに、そのたんぱく質に対する抗体が産生されて疾患の治療に寄与する。DNAワクチンは感染症だけでなく、がん、自己免疫疾患やアレルギーの治療に期待されている。獣医領域ではすでにDNAワクチンが承認されていて、ヒトでも臨床試験が行われている。ほかに、DNAワクチンは、抗原のたんぱく質製造に比べて、迅速に大量培養でき、冷蔵保存の必要もなく保存や輸送に便利という利点もある。