南氷洋に分布するクジラで、以前はミンククジラ(Minke Whale)と同種と考えられていた。国際捕鯨委員会科学小委員会(IWC/SC)は、1990年6月、 親委員会に南氷洋にいるクロミンククジラの推定個体数を76万頭(95%信用区間は60万~90万頭、以下同)と報告した。また、この数値に基づき、商業 捕鯨の捕獲枠が報告された。IWC/SCが合意し、この調査で使用した改定管理方式(RMP ; revised management procedure)は、現在広く推奨されている順応的管理の先駆例で、資源量を継続監視し、相対資源量とその推定精度に応じて捕獲枠を変えるものである。最新の推定値に関しては議論が数年続いたが、IWC/SCは推定方法を再検討し2012年、1985・86年度~90・91年度の個体数を72万頭 (51万~101万頭)に修正した。さらに92・93年度~2003・04年度の個体数を51.5万頭(36万~73万頭)に修正した。これは野生生物の 個体数推定が依然として困難であること、大型鯨類も含めた野生生物の個体数は自然に変動することを物語っており、捕獲数が年間数百頭の調査捕鯨が個体数減少の原因とするには無理がある。