ポリ塩化ジベンゾ-p-ダイオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン、コプラナーポリ塩化ビフェニール(co-PCB)の3種の化合物群をダイオキシン類と呼ぶ。いずれもベンゼン環二つがつながった構造を持ち、塩素の置換数と位置により多くの異性体が存在する。催奇形性や発がん性を有するとされ、中でも2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ダイオキシンは最も毒性が強く、しばしば史上最強の毒物と呼ばれた。しかし、日常生活で大量に摂取することはなく、急性毒性が生じることはない。日本では、都市ゴミや産業廃棄物の焼却が主な発生源と考えられ、ダイオキシン類対策特別措置法などにより、主として焼却炉対策が進められてきた。しかし、過去に大量に使用されたペンタクロロフェノール(PCP)やクロロニトロフェン(CNP)などの除草剤中に高濃度のダイオキシン類が含有され、1960~70年代に水田に大量に散布されたことが明らかになった。日本人の人体汚染は、70年代以降、低減傾向が続いている。なお、ダイオキシン類の量は、その毒性総量を2378-TCDDに換算した毒性等価量(TEQ ; Toxic Equivalent)で表すことが多い。