近年、イノシシ、シカ、クマ、サルなどによる農林業被害などが増えている。これは四半世紀にわたる狩猟規制により個体数が増加し、中山間地の過疎化が進んで野生鳥獣の生息地が増加してきたことなどが原因といわれる。
環境省は1973年から定期的に自然環境保全基礎調査(いわゆる緑の国勢調査)を進めてきた 。第2回(73-78年)と第6回(99-2004年)を比べて、ニホンジカ 、イノシシ 、ニホンザル 、カワウ 、アオサギ など多くの野生哺乳類と一部の鳥類の分布域が拡大していることが明らかになった。他方、ウズラ やタマシギ などでは分布域が縮小している 。国土交通省と自治体も1990年から全国109の1級河川及び主要な2級河川の水系やダム周辺などを対象として魚介類、底生動物、植物、脊椎動物、陸上昆虫類等の生物調査を含む「河川水辺の国勢調査」を行っている。日本植物分類学会では約500人の調査員により全国の在来種の個体数、分布、減少率調査を行っている。これらの基礎情報から、生物多様性を総合的に評価することが可能である。