製品に鉛を含まないという意味で、特に鉛を含まないハンダのことを指す。鉛は低融点で加工しやすい金属として、ローマ時代から様々な用途で使われてきた。また、鉛化合物は発色のよい顔料やガソリンの改質剤として使われてきた。しかし蓄積性と慢性毒性から環境影響が懸念され、健康影響の顕在化に伴い無鉛化が進んできた。特に鉛フリーと呼ぶ場合は、電気電子(E&E)機器、中でもハンダの無鉛化を指す。鉛ハンダは電子産業を支えてきた基本技術であり、影響は大きい。1990年代後半、RoHS指令により製品への鉛やカドミウム等の有害物質含有が事実上禁止されることが判明して以来、E&E機器メーカーの対応が求められ、鉛フリーハンダの開発が進んだ。しかし、開発された鉛フリーハンダはハンダ槽の腐食やウィスカーの発生によるショートなどの問題を抱えており、鉛フリー化は費用効果が小さいという批判もある。コストも含めた代替技術開発が、産学を挙げて取り組まれている。