陸域の河川から還元鉄などが供給されて海の一次生産力を高め、魚を増やすという考え方。総合地球環境研究所の「アムール・オホーツク研究」で提唱された用語。古来日本では沿岸の林が海の魚を豊かにすると考えられ、「魚付林」と呼ばれる。海の一次生産はしばしば窒素と鉄が制限要因となる。オホーツク海は北太平洋などほかの高緯度海域に比べて鉄濃度が高く、高い一次生産を維持し、その主要な供給源はアムール川(黒龍江)流域の森林と湿地である。近年、中露アムール川流域の開発が進み、汚染が問題となり、気候変動とあいまってオホーツク海の生産力の低下が懸念され、2009年11月に日中露の研究者が一堂に会し、「オホーツク海とその周辺海域の環境保全に向けた研究者の共同声明」を採択した。