真菌の一種がカエルの皮膚に寄生し、皮膚硬化などの症状を示して死に至る両生類の新興感染症。すでにオーストラリアや中米パナマでは、本菌によりカエルの局所個体群が絶滅する被害が生じているという。日本でも2006年に外来輸入カエルから感染個体が発見され、大騒ぎとなった。しかし、国立環境研究所と麻布大学のグループが国内での感染実態を調べたところ、輸入されたカエルからは同じ病原性の菌が多数発見されたものの、それ以外に野生在来個体からもこの菌が多数発見され、しかも病原性が認められていないことが判明した。つまり、この菌はもともとアジアに生息し、かつ野生の両生類も抵抗性を獲得している。そこに海外から病原性の菌が侵入して来たが、現時点で日本では大きな脅威とはなっていない。人間活動により両生類を輸出入し、野生とは異なる環境で利用し続けたことが、今回の問題を引き起こしたと考えられる。