1950~60年代を中心に行われた大気核実験や、原子力発電所事故による放射性物質が海洋に存在し、水産物などに蓄積すること。チェルノブイリは内陸にある原発の事故だったが、2011年3月の福島第一原発事故では、放射性物質に汚染された冷却水(高濃度汚染水)が大量に海に流れ込み、海底に沈殿した。また大気中に放出された放射性物質の大半は海に降下したとみられる。11年4月初めに発見された排水溝の割れ目からの放出は4月6日にふさがれた後、原発施設近隣の放射線濃度は半月で1%以下に下がり、主要な流出経路は封じ込めたと考えられる。当初、汚染水は福島沿岸を南下し、沿岸性のイカナゴで基準値を大幅に超えるセシウムが検出された。低濃度汚染水はその後沖合に拡散し、広く太平洋から検出された。海藻はヨウ素を濃縮するが、事故が収穫後のため大きな影響は出ていない。セシウムは30日程度で半分が体外に排出されるため、食物連鎖を通じた生物濃縮も起こりにくいとされる。沿岸の海底にはセシウムが長く蓄積するので、沿岸の水産物については、基準値を超えないように注意が必要である。