遺伝子組換え(GM ; genetically modified)作物について、栽培地では周囲の野生種や非GM作物と交雑しないよう、自治体ごとに指針があり、比較的厳重に管理されている。しかし、流通経路ではほとんど管理されていない。その結果として、日本の港湾の周辺で、輸入されたGM作物の種子がトラック輸送中などにより散逸し自生している、つまり野生化している例がNPO法人チェルノブイリ救援・中部の河田昌東(まさはる)理事から報告されている。特に問題となるのは食用油原料として輸入しているナタネ(セイヨウナタネ)である。その9割はカナダからの輸入であり、2009年におけるカナダ産ナタネの約9割がGM作物とされている。実際に、四日市港周辺で、除草剤耐性をもつ輸入GMナタネの自生が確認されており、これらは国内のナタネ類やアブラナ科の植物と遺伝子交配を起こすおそれがあるとされている。そもそも、輸入穀物などの輸送により外来雑草も数多く運ばれ、日本に定着しているといわれる。原産国の栽培を管理するのと同様、輸入国の輸送についても管理する必要がある。