東京電力福島第一原子力発電所事故直後、厚生労働省によって食品の放射性セシウム等の暫定規制値が設定されたが、2012年4月になって新たに設定された基準値。暫定規制値では、原子力安全委員会の指標に沿い、食品からの許容被曝線量を年間5ミリシーベルトとした。また、放射性セシウムは1キログラム当たり500ベクレル、ただし飲料水と牛乳・乳製品に関しては200ベクレルとした。これは年代によって摂取量や放射線への感受性の違いがあるなかで、もっとも低い数値を設定したものである。新基準では、これを引き継ぎつつ、より一層の安全と安心を確保する観点から、許容被曝量を年間1ミリシーベルトに引き下げた。さらに、食品群を4つのカテゴリーに分け、1キログラム当たりの放射性セシウムの基準値を、飲料水10ベクレル、一般食品100ベクレル、牛乳と乳児用食品はそれぞれで50ベクレルとした。飲料水は摂取量が多く、代替品がないことから低い値になった。また、牛乳と乳児用食品のカテゴリーを設けたのは、乳幼児や子どもの生活習慣や感受性の高さを考慮した結果とされる。しかし、セシウムが検出される食品はわずかであり、実際の食品からの内部被曝線量は0.1ミリシーベルト以下という調査結果も出ている。2012年10月、青森県の野生キノコから新基準値を超えるセシウムが検出されたとの報道があった。少量しか食べないキノコなどの食材まで一律に規制することには疑問があり、また半減期の短いセシウム134が検出されていないことから、米ソ核実験時代の影響との指摘もある。