常温では無色透明の気体で、水によく溶ける。メタナール、メチルアルデヒドともいう。分子量30.0、融点-92℃、沸点-20℃。有機物の燃焼や光化学反応からも生成する。水溶液はホルマリンと呼ばれ、消毒薬や防腐剤として使用されるほか、合成樹脂、塗料、インク、接着剤などの原料としても使われる。PRTR(Pollutant Release and Transfer Register ; 化学物質排出移動量届出制度)のデータによれば、2010年の日本の環境排出量は年間約8000トンで、自動車排気ガスなどに含まれるものが大部分を占める。吸入すると呼吸器を刺激し、せき、頭痛、吐き気、息切れを引き起こす。また、シックハウス症候群との関係が疑われている。呼吸器では、国際がん研究機関がグループ1(人に対して発がん性がある)に分類している。水や食品からの曝露では、食品安全委員会が耐容一日摂取量(TDI)として、体重1キログラム当たり0.015 ミリグラムを採用している。2012年5月、利根川水系から取水された水道水中に、水道水質基準の1リットル当たり0.08 ミリグラムを超えるホルムアルデヒドが検出される事件があった。この原因は、上流の廃棄物処理業者の放流水に含まれたヘキサメチレンテトラミンが浄水場の塩素処理過程で塩素と反応して生成したためと判明した。