常温で無色透明の強く甘い芳香を持つ液体の有機塩素化合物で、塩化メチレンともいう。分子量84.93、比重1.3、融点-95℃、沸点40℃。難燃性であり、金属機械の油脂を洗浄する用途など、広く溶媒として利用されている。2010年度のPRTR(Pollutant Release and Transfer Register ; 化学物質排出移動量届出制度)によれば、日本では年間約1万6000トンが大気環境に排出され、廃棄物として約7800トンと下水道へ約1.4トンが移動されたと見積もられている。大気中での半減期は約2~4カ月で、オゾン層破壊性はないとされている。また、土壌に排出された場合は、地下浸透して地下水汚染を引き起こす。国際がん研究機関(IARC)はグループ2B(人に対して発がん性があるかもしれない)に分類。耐容一日摂取量(TDI)は、体重1キログラム当たり0.006 ミリグラムとされている。これに基づき、水道水質基準及び水質環境基準は、1リットル当たり0.02ミリグラム以下と定められている。また、大気環境基準は1立方メートル当たり0.15ミリグラム(1年平均値)となっている。12年7月、ジクロロメタンと1,2-ジクロロプロパンをインクの洗浄に使っていた印刷会社の社員に胆管がんが多発していることが報道された。これら化合物は類似の毒性を有し、ジクロロメタンについては、低濃度曝露では有害性は弱いが、500 ppmを超えると体内での代謝経路が変わり有害性が強くなるとの研究報告がある。今回の事件ではこの限度を超えていた可能性がある。