1990年頃に開発された、タバコに含まれるニコチンと類似の分子構造を持つ農薬の総称。神経の働きを阻害し昆虫を殺す、浸透性があり作物に吸収されやすい、条件によっては残留性が高いなどの特徴を持つ。有機リン系農薬より低毒性で、少量でも効果が高いとされ、日本ではカメムシ防除や松枯れ防止、シロアリ駆除などに幅広く使用されている。具体的には、アセタミプリド、イミダクロプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、チアクロプリド、チアメトキサム、ニテンピラムの7種で、年間の出荷量は合計400トン程度(2007~11年)。また、類似の構造を持つフィプロニルなども含める場合がある。1990年代からミツバチの大量死や群れごと姿を消す現象、蜂群崩壊症候群(CCD ; Colony Collapse Disorder)が各地で起こり、ネオニコチノイド系農薬とミツバチ大量死を結びつける論文が12年に科学誌「サイエンス」や「ネイチャー」で掲載されたことから、この農薬への懸念が広がった。ハチは植物の繁殖に貢献しているため、CCDは農業生産への影響も大きい。欧州委員会は13年5月24日、ミツバチの減少事態への対処として、ネオニコチノイド系殺虫剤3種(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)の使用を同年12月から禁止すると決定した。他方アメリカでは、CCDの原因は農薬だけではなく、寄生虫や疾患、遺伝的要因、栄養不良など複数の要因が関与しているという考え方が主流で、対策はとられていない。