沿岸域に生息する生態によって固定された炭素の総称。化石燃料による二酸化炭素(CO)排出による気候変動は、大きな地球環境問題のひとつである。気候変動対策には、温室ガス排出量の削減など温暖化そのものを止める緩和策と、温暖化による集中豪雨や土砂災害などに備えて悪影響を軽減する適応策がある。たとえば、植物の光合成はCOを同化する(グリーンカーボン)ため、植林は緩和策として有効だ。内陸の森林だけでなく、藻類、海草類、マングローブ林など沿岸域の植物もまたCOを同化し、さらに泥炭層などになって半永久的に炭素を蓄積する。単位面積当たりの同化量は森林を大きく上回るともいわれている。マングローブ林は高波や高潮などの際には防災効果を持ち、内湾などの水質を保持する機能もある。このように適応策の役割も期待され、緩和策の効果と併せて沿岸生態系の役割が注目されつつある。反対に、沿岸域の開発は、生物および泥炭層に蓄積された炭素を大量に排出することになり、逆効果となる。