「+」あるいは「-」のどちらか同じ符号を持った電荷が反発し、異なる符号を持った電荷が引き合う電気的な力をクーロン力という。電子は負の電荷を持っているため、お互いに反発し合う。ナノ構造では狭い空間に電子など電荷を持つ粒子が閉じ込められるため、クーロン力が大きな影響をもたらす。たとえば、ナノサイズの導体では数個の電子が入っただけで、そのクーロン反発のために、それ以上の電子は導体に入ることができなくなる。このようなナノ構造に電子を押し込む方向の電圧を加えれば、入れる電子の数を増やせるが、電子は分解できないので、導体内の電子数が一つ増える条件が満たされるまで導体内の電子の数は変化できない。すなわち電流が流れない。このクーロン力に基づく電流のブロック作用をクーロンブロッケードという。最先端のナノ構造では電子数を1から制御することも実現されている。