極微の世界で動く敏感な機械システムを構築する技術であり、その代表がMEMS(microelectromechanical system)とNEMS(nanoelectromechanical system)である。MEMSは自動車のエアバッグを作動させる加速度センサーなどに使われ、さまざまなスイッチやセンサー、光通信部品、医療などへの応用も期待される。これをさらに小さくしたNEMSでは、原子や分子1個の付着や、電子1個の電荷の高感度検出が可能で、低温では電子の干渉効果を用いた高感度センシングも実証された。微小な板バネの振動を光の共振効果などを利用して抑制したり増幅したりすることも試みられている。特に、レーザー光などを利用して熱振動を抑制する場合には、極めて低い実効温度が達成され、超高感度センシングや機械振動の量子極限状態の実現に応用されることが期待される。小型機械を動かす動力源として生物を考える斬新なアイデアもある。毒性のない細菌を使いこれにマイクロ機械を引かせる(あるいは押させる)試みが進められている。生物は糖分などを分解して極めて高効率に動くため栄養分である糖を原料に、半永久的に体内で動くマイクロマシンの可能性も出てきた。