超小型のアンテナに向けた取り組みのひとつ。通常の精密加工では直径50μm(マイクロメートル μは10-6=100万分の1)程度が限界になるが、炭素繊維が巻き合い微小なコイルを形成したカーボンナノコイル(carbon nanocoil)では、直径がサブミクロンから数十nm(ナノメートル nは10-9=10億分の1)のナノコイルが可能になる。細く絞ったイオンビームによりカーボンを三次元的に堆積する、三次元ナノ造形(three-dimensional nanostructure fabrication)による作製も行われている。興味深い作製技術として、植物が作る直径数ミクロンにもなるらせん状繊維を使い、これにメッキを施して金属マイクロコイルを作るという試みもある。マイクロコイルはアンテナ以外にも、高効率の電磁波吸収材料、電磁波吸収を利用した発熱体、さらには微小スプリングとしての応用も期待されている。