直径が1μm(マイクロメートル μは10-6=100万分の1)に満たない超微小な気泡を指す。通常の泡は短時間で消滅するが、電解質溶液中でマイクロバブルの圧壊により生成されたナノバブルは、数カ月にわたり消滅せず、特徴的な性質を持つ。たとえば、液体中にさまざまな分子がある場合、分子に近い大きさの気泡が長時間液中に滞在し、分子と衝突を繰り返すことで、分子を分解したり、化学反応が促進されたりする効果が現れることがある。食品の鮮度の維持や殺菌などにも効果があり、オゾンのナノバブルでは長期間殺菌効果が持続する。一方で、がん細胞の死滅にも有効であるとの報告もある。また、酸素のナノバブルでは、淡水魚と海水魚の共存飼育を可能とするだけでなく、体力の回復効果を高めるなど、魚介類の環境適応性を向上させることが明らかになっており、新しい養殖技術とともに、病気の治療や移植医療など医療分野への応用が期待される。一方、工業的にもその有益性が報告され始めており、ナノバブルを連続的(例えば、数日間)に発生させることで、半導体の製造過程で使用される有害物質の一部について、ほとんど完全に分解できる技術も開発されている。