テンプレートとなる目的の分子とモノマー(単量体)を重合させることにより、テンプレートの形状を保ったポリマー、つまり鋳型が形成できる。鋳型はもとの分子の特徴が転写されているので、分子を使用することなく、ちょうど抗原抗体反応のように、その分子特有の特異的反応が期待できる。たとえば、溶液中の不要物質の除去や必要な物質のみを取り出すことができる分離カラムのような働きが期待できる。一方、単純な分子ばかりでなく、たんぱく質を対象にした鋳型作成も取り組まれている。これを使えば、受容体のような鋳型が作成でき、疾病に関連した物質を検出・分取できるセンサーとして利用できるかもしれない。また、この鋳型を基に、ネガからポジを作るかのように、目的分子と同じ状態の別の物質を作製するダブルインプリンティング(double imprinting)もできる。特定の病気に効く特効薬の作成や、既存の薬を改良するなど、創薬分野での応用が期待される。