塩を加熱していくと、ある温度で固体から液体に変化し、液状塩(溶融塩)になることはよく知られている。それに対し、1989年に東北大学の五十嵐淑郎ら、92年にJ.S.ウィルクスらは、室温で安定な液体状態を示す有機イオンからなるイオンのみの液体について報告している。イオン液体は水を含まないイオンのみからなる液体で、導電性を有し、蒸発しない液体であることから、電解質材料としての期待や電子顕微鏡など真空内における生体物質挙動の解析に威力を発揮するものと期待されている。また、アミノ酸イオン液体についても報告されており、生体研究への展開が期待される。