たんぱく質や生体分子について、ms(ミリ秒 1000分の1秒)からfs(フェムト秒 fは10-12=1兆分の1)といった超高速で観察することによりナノサイズでの動きを捉え、連続して投影することで原子スケールでのムービーを作成する試み。空間(三次元)に加え、高速での画像化といった、時間軸に対する画像化をともに行う四次元電子顕微鏡法(four-dimension electron microscopy)がこの作成を可能にした。四次元電子顕微鏡法は、フェムト秒の短時間で生じる現象をnm(ナノメートル nは10-9=10億分の1)の解像度で観察することで、物質の状態遷移や振る舞いなどを理解することが可能である。生物の構造や機能の解明にも有効な手法である。このほか、同様なフェムト秒の超短パルスレーザーを用い、走査型トンネル顕微鏡(STM)と組み合わせた手法も開発されており、トンネル電流をプローブとするナノスケール構造解析のムービーへの展開も期待される。
一方、生物への応用は、クライオ電子顕微鏡法(Cryo-electron microscopy 急速凍結により、染色せずに生体の分子そのものを観測する方法)が有名である。最近では、時間分解能は劣るものの、水溶液中において、生きた状態でナノメートルの解像度でのリアルタイムイメージングが可能な、高速原子間力顕微鏡(高速AFM ; high-speed atomic force microscope AFMは原子同士が接する寸前で働く力で試料の表面の凹凸形状をとらえる顕微鏡)を用いたたんぱく質構造解析も報告されており、ナノサイズでの動的変化の解析が可能になってきた。