1000ゲノムプロジェクトにより、ヒトゲノムの塩基配列が解読されたものの、遺伝子コード、さらには遺伝子と病気との関連性については、さらなる解析が求められている。そのような中、DNA解析、特に高速での解析が、これらの関連性についてのキーになると考えられている。解析に用いられるシーケンサー(遺伝子解析装置)は、解析に用いる試薬に加え、維持費も高額であり、より簡易で安価な手法が求められていたが、微小な孔(あな)をDNAが通過することで、塩基ごとの電気的性質を読み取る手法が開発され、DNAトランジスタと呼ばれている。DNAがもつ電気的性質を直接計測することで、試薬や蛍光タグ(蛍光標識)が不要な読み取りが実現できる。DNAを微細孔へいかに効率よく導入するか、安定な計測に向けた電極材料の選択など、課題は多い。アメリカや日本で研究が進められ、IBMとロシュ(Roche)は実用化を目指している。