柔軟性に富み、曲げたり変形させたりでき、生体になじむ電極素子。心電や脳波をはじめとする、ほとんどの生体活動計測用電極は、金属である。金属は固く、動きに応じて皮膚表面が凸凹に変化する我々人間にとって、その装着は不快感をともなうだけでなく、ノイズなどのアーチファクトや金属アレルギーなどの問題を引き起こすケースもある。この問題をクリアするため、さまざまな取り組みがなされており、その代表的なものに、低周波治療などに使用されるゲルを電極表面につけた、いわゆるゲル電極(gel electrode)がある。繰り返し使用に耐えないなど、耐久性に劣るものの、ゲルに導電性の高分子を使用することで、装着感に優れ、高感度化や不快感の低減化などが実現できている。最近では、ゲル電極と測定系を一体化することで、健康モニタリング(health monitoring)を行うフレキシブルなウェットデバイスが注目されている。また、絹糸に導電性高分子を取り込ませることで、細くしなやかで、装着感を感じさせない電極も報告されており、これを用いた医療・健康への応用が期待される。