プリンタブルエレクトロニクス技術(printable electronics technology)、プリンテッドエレクトロニクス技術(printed electronics technology)とも呼ばれる。半導体、電極、配線・絶縁作製を従来のエッチングに基づく微細加工技術によらず、すべて印刷で行うことによりデバイスを作製する技術のこと。多くの工程が必要な微細加工が不要となるため、製造コストの低減化につながると考えられている。ウェアラブルなどの生体計測において求められるフレキシビリティーの視点からも有用である。本技術はインクジェットやスクリーン印刷によるプリントであるため、従来のシリコン基板だけでなく、フィルムのようなフレキシブルな素材にも印刷可能であり、従来の製造工程では難しかった大面積でのデバイス製造も可能となる。次世代プリンテッドエレクトロニクス技術研究組合(JAPERA)を筆頭に、産業技術総合研究所、山形大学などが研究に取り組んでおり、バイオ計測分野への応用が検討されている。
この技術が可能となった背景には、銀インク(silver ink)の発展がある。これは銀ナノ粒子を溶媒に含ませたもので、この銀インクを用いることにより、印刷するだけで導電性を確保した配線を形成できるようになった。現在ではこの技術が進展し、家庭用のプリンターでも印刷可能なものや、プリント後に焼結する必要のないものも登場したため、印刷適用基材が広がり、手軽で安価な回路作製が可能となった。