新たに開発された医療技術を、病院などの臨床現場において患者に適用するに至るまでの研究の流れを指す。具体的には、薬物代謝などの基礎研究を経て、臨床試験を行う前の生体適合性や、治療によるがん化誘導などの安全性チェック、臨床現場における臨床試験、それをクリアして事業化に至るまでの一連の流れをシームレスに運用すること。
近年では、失われた組織を人工的に培養して補足する再生医療も開始されているほか、ナノテクノロジーなどの工学技術を利用した医療技術開発も盛んに行われているため、その範囲は拡大している。微細な電極チップを利用した人工網膜(artificial retina)やiPS細胞を利用して作製した網膜の移植をはじめ、細胞シート、あるいは微細な足場を築き、そこに細胞が充填されることで組織を構築するようなことも可能になっている。このような最先端の技術は、機能回復や疾病克服のための有効な技術になりうる一方、生体においての毒性から新たな機能喪失につながる可能性も考えられ、その予想自体が困難な事態も想定される。新しい医療技術の導入には、その効果の大きさだけでなく、それにともなった十分な安全性の確認が必要となっている。