心電や血糖値などの情報は、疾病を抱える患者にとって必須のものであるが、長期にわたり連続的に計測することは難しかった。食事や運動によって変動しやすい血糖値は、連続的に計測することが必要とされる。しかし、デバイスの装着や採血などを考えると、体内に計測のための機器を埋め込むことで連続的に計測できることが望ましい。このような計測には、今まで酵素反応を利用するものが多かった。昨今、東京大学の竹内昌治教授らは、グルコースに応じて光(蛍光)の強度を変化させるハイドロゲルビーズをファイバー状に加工したものを利用することで、血糖値計測を可能にするファイバー型センサーを開発している。マウスの耳に埋め込むことで、4カ月以上血糖値の計測に成功しており、体内埋め込み型のセンサーとして人への応用が期待される。また、東京大学の染谷隆夫教授らは、粘着性ゲルを利用したシート型の心臓に貼る心電センサーや指に貼るひずみセンサーに取り組んでおり、これらを活用することで体内埋め込み型の電子デバイスとしての可能性に期待している。
一方、東北大学の鳥光慶一教授らは、導電性高分子を用いてシルク素材を導電化することでフレキシブルシルク電極(Flexible Silk Electrode)を開発。大学発ベンチャーであるエーアイシルク(AI SILK)社を設立し、脳組織または筋肉組織に埋め込み、あるいは貼付することで活動計測を行う研究と成果活用のための普及に取り組んでいる。