1990年代初頭にネイドリアン・シーマンらが報告したDNAを用いたナノ構造体の合成に関する研究は、バーナード・ヤークらによるDNA分子ピンセット(DNA tweezers)、フリードリッヒ・ジンメルらによるDNA鎖に沿って動くDNAウォーカー(DNA walker)など、動きをともなうDNAナノ構造体、いわゆるDNAマシンへと発展を果たしてきた。現在までに、DNAを用いて二量体(二つの同種の分子が会合した状態で機能する超分子)や超格子(複数種の原子が、それぞれ結晶格子をつくりつつ、全体としてもそれらを重ね合わせた結晶格子をつくったもの)など、二つの異なる状態に切り替わる、いわば「動的ナノ粒子構造体」が誘導されている。
最近では、イタマー・ウィルナーらが、DNAを連結に利用することで、大きさの異なる金ナノ粒子の配列を切り替え、粒子間の距離を調節することで、プラズモン(自由電子の集団電子振動)の結合相互作用を調節できるマシンを開発している。