光合成における光エネルギーの伝達については、葉緑体内におけるたんぱく質が光エネルギーを吸収し、伝達することが知られている。しかしながら、その作用メカニズムは複雑で観測が困難であった。理化学研究所の中野明彦チームリーダーの研究室は、30秒で20枚の三次元画像を取得可能な共焦点顕微鏡システム(SCLIM ; super-resolution confocal live imaging microscopy)を用いて「ヒメツリガネゴケ」の葉緑体における光合成反応での光エネルギー移動の変化を観測することに成功した。着目したのは、葉緑体に含まれ、赤と青紫の光エネルギーを吸収する色素・クロロフィルが光合成に使い切れずに放出するエネルギーである蛍光のダイナミクスであり、これにより光エネルギー伝達の変化を可視化でき、光合成反応のダイナミクスを可視化することができた。