通常の光学顕微鏡の感度を極限まで上げて、単一光子のレベルで光が来たかどうか、さらにはその光のエネルギー、すなわち波長も識別しようとする試みが進められており、光子1個でも見える顕微鏡を目指すことから、光子顕微鏡と名付けられた。集光レンズを付けた光ファイバーを走査することで、試料からの画像を得るシステムと、光ファイバーに入った光を超高感度で検出できる超伝導光センサー(superconducting optical sensor)が組み合わされている。超伝導光センサーは微弱な光が入ると超伝導が一時的に破壊され、抵抗が出現することを利用したものであり、 波長の識別機能も有している。なお、専門的には超伝導転移端センサー(TES ; transition edge sensor)と呼ばれる。
2017年現在で、1測定点当たり20個程度の光子が来れば画像を見ることができる。これは、0.16fW(フェムトワット:10-15W)の明るさを検出することに相当する。単一光子まで検出できる顕微鏡が実現されれば、生体や医療を含めた顕微鏡の応用に革命的なインパクトをもたらすことが期待される。