MOFとは金属有機構造体(metal-organic-framework)の略称である。ナノメートルスケール(10億分の1mスケール)の孔の開いた多孔質材料(porous material)は、分子の吸着、貯蔵、あるいはフィルターとして重要な役割を果たしているが、よく知られている活性炭などは孔の大きさが均一ではない。また、ゼオライトは規則的で均一な配列を有しているが、孔のサイズや化学的性質などのさまざまなパラメータを変えることができない。このような状況の中で、有機物と無機物が規則的に配置されているMOFは孔のサイズや方向、配列を制御した膜が形成できることに加えて、用いる原料を変えることで、孔の大きさや、さまざまなパラメータを調節できる魅力がある。体積中の表面積が格段に大きく、大きな吸着量を有することから、すでに実用化されている多孔質MOF材料もある。これまで配列がそろった状態で形成できる薄膜の面積はマイクロメートルサイズ(100万分の1mサイズ)に限られていたが、最近、より大きなサイズを有する結晶を土台にして、その上にMOF薄膜を成長させることで、センチメートルサイズの孔の向きがそろった薄膜を作製することにも成功した。所望の基板に土台を転写することも可能で、ソフトな材料や曲面を含む多様な形状に対しても技術が適用できる将来性がある。