現在の記憶媒体であるハードディスクなどの代わりにDNA(デオキシリボ核酸)をストレージ(外部記憶装置)として使用しようという試みのこと。太古のDNAを現代において解読できることなどから、テープなどの記録媒体に代わり、長期間にわたるデータ保存に適していると考えられている。
2012年、アメリカのハーバード大学のジョージ・チャーチ教授らは、DNAを構成する四つの塩基、A(アデニン)、G(グアニン)、C(シトシン)、T(チミン)に対し、5万2000語からなる本の情報を割り当てコード化した後、シーケンサーで配列を読み取り、情報の復号化に成功している。DNA1gで記憶できる容量は、1.28PB(ペタバイト Pは1015、Bは8bit)であった。その後、コロンビア大学のチームらは、その約200倍、マイクロソフト社は、1ZB(ゼタバイト:1021B)近くのデータを保存できることを報告している。
書き込みには、現在では1塩基あたり約10セントかかっているものの、シーケンサーを用いた読み出しコストが10年前の100万分の1にまで下がっていることから、今後実用化の可能性は十分あると考えられる。