アメリカのウィスコンシン大学のベンジャミン・ベアード博士、ジュリオ・トノーニ教授らは、睡眠中の脳波を調べることで、後頭部知覚の皮質領域に「ホットゾーン」があることを明らかにした。今まで、夢はレム睡眠(REM〈rapid eye movement〉 sleep)時の高周波脳活動の増加に関連しており、ノンレム睡眠(Non-REM sleep)時の低周波脳活動の増加が夢を見ていないことと関連していることが知られていた。ところが、ノンレム睡眠でも夢を見ていること、レム睡眠から目を覚ましても夢を見ていなかったとする研究報告が近年増加し、睡眠状態と夢の関係が複雑であることが示唆されていたが、「後部皮質ホットゾーン」領域では、レム睡眠時とノンレム睡眠時の夢のいずれも低周波脳活動の低下に関連していたことが報告された。また、夢を見ることが、ノンレム睡眠時にホットゾーンの高周波脳活動の増加から始まり、前頭部と側頭部に向けて広がっていくこと、レム睡眠時の夢も前頭部と側頭部での高周波脳活動が増加していたことが明らかになった。さらに、後部皮質ホットゾーンでの低周波脳活動の減少と高周波脳活動の増加を調べることで、ノンレム睡眠時に夢を見ることを約90%の精度で予想することができることも明らかとなっている。