太陽とその周りを回る惑星がどのように形成されたかを論じた学説。現代の太陽系形成論には、旧ソ連のサフロノフらが論じたサフロノフモデル、日本の林忠四郎らが提案した京都モデル、アメリカのキャメロンのモデルがある。いずれのモデルでも星間雲の収縮によって形成された原始太陽を取り巻いて円盤状の星雲(原始太陽系星雲 protosolar nebula)が形成されたと考える。サフロノフモデルと京都モデルによると、原始太陽系星雲の質量は太陽質量の100分の1程度であったとされるが、キャメロンのモデルでは太陽と同程度の原始太陽系星雲が形成されたとされる。前者の場合は、原始太陽系星雲が冷却して塵(dust)の層が形成され、それらが塊となって直径10km程度の小天体群になる。このような天体を微惑星(planetesimal)という。原始太陽系星雲で形成された膨大な数の微惑星は衝突による分裂と合体を繰り返しつつ成長し、最終的に八つの惑星が形成されたと考えられる。サフロノフモデルと京都モデルの違いは、原始太陽系星雲の水素やヘリウムからなるガス成分が微惑星の成長の初期段階で失われたか、惑星が形成されたあと失われたかによる。一方、キャメロンのモデルでは原始太陽系星雲から木星のような巨大ガス惑星が形成されたと考える。太陽系の惑星形成ではサフロノフや京都モデルが支持されてきたが、最近相次いでいる太陽以外の恒星の惑星系(系外惑星系)の発見に基づいて太陽系形成論の再検討が行われている。